遺言書を作成してほしいという頼みは、たとえ良好な親子関係を築いていたとしても簡単ではないでしょう。
頼み方を間違えると「早く死んでほしいのか!」「財産目当てか!」「縁起でもない!」などと言われ話が終わってしまいます。
これでは、これ以降の親子関係にも亀裂が生じかねません。
※遺言書は「本人の意思」で書いてもらわなくてはなりません。無理やり書かせた遺言書では効力はありません。
しかし、遺言書がなければ親族間で思いもよらないトラブルが発生することもあります。
遺言書がなかった為に、仲の良かった兄弟姉妹が争うようなことはよくある話です。
相続においてトラブルメーカーはどこにいるかわかりません。
複雑化した現代社会では、親に遺言書を書いてもらうことは必須と言えるのではないでしょうか。
では、どうやって「話を切り出すか」これが最初にして最大の難関です。
どうやって「気持ちよく遺言書を書いてもらう」のか。
そして、遺言書を作成してもらってトラブルを回避したつもりが、逆にトラブルを誘発するような遺言書になってしまうこともあります。
どうしたら「相続人全員が納得できるような遺言書」の内容になるのか。
これには正解はありませんが、私の経験からアドバイスをしたいと思います。
自分自身で遺言書を書くこと。そして、遺言書を書いたことを親に伝えましょう。
親に遺言書を書いたことを伝えると、親の反応は「まだ若いのになんで遺言書を?」となるでしょう。
そこで、「遺言書を書く必要性」を話せばいいのです。
息子(娘)も書いているのだからと、真剣に話を聞いてくれることでしょう。
自分で遺言書を書いているので「遺言書を書く必要性」の説得力も増していることでしょう。
また、普段から遺言や相続について、さりげなく話題にすることも大事です。
例えば、有名人の訃報のニュースを見たら「この人は離婚歴があるから相続が大変そうだね」とか、ドラマや映画 で遺言や相続のシーンがあったことを話すとなど、普段の会話に遺言や相続という言葉を盛込むことによって親も遺言や相続を身近に感じることでしょう。
※遺言を作成したがらない親の言い分
親が「遺言書を書く必要性」を理解したら次は「遺言書の種類」の説明をしましょう。
遺言書には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」と3種類あります。
それぞれの遺言書のメリット・デメリットを説明しましょう。
まずは「エンディングノート」から勧めるのも良いと思います。
次に、「遺言書の具体的な作成方法」を説明しましょう。
まずは「遺言書作成キット」などで簡単に遺言書を作成できるという話から始め、「自筆証書遺言」の作成方法や最終的には手間も費用もかかるが、安全で確実な「公正証書遺言」の作成方法まで説明しましょう。
最後に、遺言書を作成してくれることを決意してくれた親に対して、安心したことや感謝の気持ちを述べましょう。
安心したことについて「これでいつ死なれても安心」などとは口が裂けても言ってはいけません。
「相続でもめることがなくなって安心」という気持ちを伝えましょう。
また感謝の気持ちを伝えることにより、親もこれからの人生を安心して過ごすことができるでしょう。